UKULELE

ウクレレの押弦の考察(2) 握力について

(続き) 先々週末に木曽川堤防沿いにサイクリング(というか、ポタリング)に行った際、各務原市川島町にある「内藤記念くすり博物館」に入ってみた。前から看板を見て気になっていたのだが、いつも車で通る道からは離れているので実際に行ったことがなく、そんなに立派な建物だとは知らなかった。その中に、見学者が使ってもよい握力計があったので、久しぶりに測ってみた。一体、何時以来だろうか。 自分は人並以上の握力があるものと思っていた。本当は違っていたらしい。平均(50Kg ぐらい)を下回っており、結構ショックである。さらに、この「平均」は利き腕のものなのか両手の平均値なのか読み取れないが、もし両手のだったら相当下回っていることになる……。因みに、ハンマー投げの室伏広治の握力は 120Kg らしい。 という具合に、自分の握力が大したことがないことが分ってしまったが、それでも女性の平均よりはある! 女性の弦楽器奏者の握力は鍛えられているかもしれないけど、自分の方が大きく劣っていることはない筈で、演奏中に握力が低下してパフォーマンスが落てしまう理由が「握力(の大きさ)が足りないから」というのは変だと思う。「弦を押さえるのに力は要らない」という話だし。 普通「握力」という言葉で連想するのは上の様な握力計で測られる力の大きさだが、実は握力にはいくつもの種類があるのだそうだ。あるページによればそれは、 クラッシュ力 ・・・・ ものを握りつぶす力 ピンチ力 ・・・・・・ ものをつまむ力、指でつまむ力 ホールド力 ・・・・・ 握ったものを保持する力 の三つで、握力計で測っているのはその内の「クラッシュ力」であって、それぞれの握力は別のものだとされている。 ウクレレなど弦楽器の押弦に使われる、あるいは使うべき力は何なのだろうか。押弦には(本来ならば)大きな力は必要ないかもしれないが、少なくとも一曲、状況によっては数曲を弾き切る様、力を出し続けることが出来なくてはならない。自分のすぐ疲れてしまう押弦の場合、「クラッシュ力」や「ピンチ力」を使っている気がする。重い荷物を長時間持つ力だという「ホールド力」の、「長時間」の部分は目的に合っていそうだが、荷物を持つ力で押弦をするとはどういうことになるのだろう。そんなことが可能だろうか。 (続く)

ウクレレの押弦の考察(1) 熟練者との差

ウクレレを演奏するとき、一曲弾く間にも後半、左手の握力が下がってきてしまう。二曲続けて弾こうものなら、相等握力が弱まって押弦が安定しない。コンサート・サイズよりも、フレットの間隔が広いテナー・ウクレレを弾く方が消耗が激しい。しかし、プロの奏者は続けて十曲二十曲と弾くことが出来るし、女性など自分より力が弱そうな弦楽器の奏者は沢山居る訳で、自分と他の奏者との差は「握力が弱い」とか「握力の持久力が無い」ということから生れているのではなさそうだ、と考えた。 師匠を含め上手い人に聞くと、演奏時、フレットを押えるには殆ど力は要らないのだそうだ。一本だけ弦を押さえて、その強さを変えながら爪弾いてみると、なるほど力を緩めていって音が変化してしまうのは、相当弱めたときである。ただ、実際の演奏では最大四本の弦をいろんな形で押えねばならず、四本とも安定した音が鳴る様にすると、やっぱりそれなりの力がいる。ただ力を抜けば良いという風に単純に解決出来るという訳にはいかない。 あまり握力を使わずに演奏出来るということは、少ない力を効率良く伝えて押えているとか、(後から気付いたことだが)握力以外の力で押弦をしている、ということになるだろう。 (続く)

リベンジなった様な、なってない様な

12月2日、12月11日と、クラチウクレレ教室の冬季の演奏会だった。今回は夏とは逆に、夜が先でその後に昼間の演奏会という順。会場が広くてプレッシャーが掛かる昼間の前に慣らすことが出来る。夏の昼間はコケているので、何とか ABC Cafe で弾き切りたいと思っていた。 今度の曲は前と同じジャンルのボサノバで、“Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)”。ウクレレを始めた頃、市販のタブ譜をみてソロ弾きに挑んていた。たぶん、最初にやった曲だと思う。その頃は、タブ譜通りに出来ないときにどう変えて良いのか全然分らなかったから、一曲通しては完成しなかった。だから、きちんと弾ける様になりたかったのである。 順番の御陰で、昼の会場でも大失敗はなかった。でも、行方不明になって一部分とばした様な気がする。あまり記憶が定かでない。都合の悪いことを忘れ易くなったらしい。そんな訳で、今回は自分の演奏に点数を付け難い。「ぼちぼち」というところか。 最初の頃の冬の演奏会は、お菓子などを持ち寄っての和気藹々のクリスマス会という風だったのだが、教室の規模が大きくなるにつれてハードルがどんどん上って来ている。まだまだ新会場の ABC Cafe に慣れない。今までアウェーな感じだった Cafe Comodo がホームな気がして来た。

リトライ

今年のウクレレ教室の夏の演奏会は人が増え過ぎて入りきらなくなったため、会場が変わった。キャパが大きくなったことで一段と来る人が増えて、結局百人くらいになった。演奏者も増えているが、会場を押えてある時間は(たぶん)長くなっていないので、「巻きで次々弾く様に」という指令が出ていた。 今回は演奏する曲(“How Insensitive”)の仕上げに苦労して直前までかかり、弾き込みが不十分で、人前で演奏する機会も持てなかった。加えて、当日午前中に用事が入っていて、復習う時間が取れないまま会場入りすることになってしまった。それでもちゃんと弾けるつもりだったが、プレッシャーに負けて途中で止まってしまう。クラッシュ率50%の法則はいまだ健在だ。(早く葬りたいが。) こんなとき、いつもなら悶々としたまま次のチャンスまで半年間待たなくてはならないのが、今年は昼間や日曜日に演奏会に来られない人のために、次の金曜の夜に第二の演奏会が予定されていた。交友があっても演奏を聴いたことがない人や、まだ会ったことのない人の演奏を聽きに行くだけのつもりだったこの会を、再挑戦の場に利用させてもらう。 追加の練習日はほんの数日しかない上に親戚関係の急用が入って、弾き込み不足を解消することは出来なかったが、楽譜上の何処を弾いているかを把握することに重点を置いて練習する。こんな短期間では実力は上げられないので、あとは自分の舵を失わない様にすることぐらいしかない。 当日、会社から会場に行く前に何度か復習う。今度の会場は慣れたところだし、一般客はほとんど居なくて顔見知りの奏者ばかり。前回より相当条件が楽になり、二回目ということもあって、今度は止まることなく弾くことが出来た。演奏自体の出来は良いとは言えなかったけど。観客百人のときと条件に差があり過ぎて、これでリカバリしたと言えるかは、ちょっとあれだけども、まぁ再挑戦の機会が有ってよかった。 それにしても、自分よりレッスン期間が短い人達も百人の前でちゃんと弾いているんだから大したもんだと思う。度胸の差だね。

指板を度数で見る

前回のCメジャースケール(ハ長音階)の図を、ド(C)をルートとした度数で書き直すと以下の様になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ 6┃ |7 |R | |2 | |3 |4 | |5 | |6 | | 3┃4 | |5 | |6 | |7 |R | |2 | |3 |4 | R┃ |2 | |3 |4 | |5 | |6 | |7 |R | | 5┃ |6 | |7 |R | |2 | |3 |4 | |5 | | ┗━━┷━━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷ この図がウクレレの指板の『構造』だと言って良いと思う。(いや、チューニングが変わると変化してしまうので、スタンダード・チューニングや Low-G チューニングの『構造』だと言う方が正しいか。)ウクレレはギターと同様にフレットを登り降り(この図では横移動)しても相対位置が同じならば関係は変らないため、この図を音名を書いた指板の図に重ねて左右に動かして或る音名に「R」を合せれば、その音名のメジャースケールが分るだろう。 この大きな図を、指が届いて使い易そうなサイズで、各弦にルートが有る形に二つずつ切出してみる。 ●1弦ルート (P1) ━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━ ━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━ |6 | |7 |R | | |6 | |M7|R | | |3 |4 | |5 | | = |M3|11| |5 | | |R | |2 | |3 | |R | |9 | |M3| |5 | |6 | |7 | |5 | |6 | |M7| ━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━ ━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━ (P2)

指板の音名を覚える

今年のウクレレの練習の目標、というか方向性として、自分でメロディの簡単なアレンジやアドリブが出来る様になることを目指そうと思う。なかなかハードルは高そうだが、それが出来れば自分も「中級者」になれるんじゃないかな。 ギターでアドリブをする練習方法について検索すると、「アドリブが出来る様になる為には、まずは指板の音名を全部覚えろ」ということらしい。ギターがそうなら、たぶんウクレレでもそうなんだろう。ウクレレ・ソロをやっているからにはある程度は覚えているのだが、きっちり覚え直す必要がある。 弦が4本であるウクレレの指板を先回紹介した西塚式音名で12フレットまで埋めると、下の図の様になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ ラ┃チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ |サ |ラ | ミ┃ファ|フィ|ソ |サ |ラ |チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ | ド┃デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ |サ |ラ |チ |シ |ド | ソ┃サ |ラ |チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ | ┗━━┷━━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷ 「ウクレレの神様」ハーブ・オータはウクレレを始めたとき、まず最初に指板上の音名を全て覚えてしまったと、何かで読んだ気する。しかし、24フレット継ぎで弦が6本あるギターと比べれば相当増しとはいえ、ぎっしり音名が書かれた図は何度見てもげんなりする。これを一遍に全部覚えろと言われても、「神様」ではない自分に出来る気がしない。 「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」(ピアノでは白鍵)だけを記入すると下の図になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ ラ┃ |シ |ド | |レ | |ミ |ファ| |ソ | |ラ | ミ┃ファ| |ソ | |ラ | |シ |ド | |レ | |ミ |

ドレミの歌の憂鬱 4

(前回から続き) 冬の演奏会が無難に終ってほっとした。今回はコード進行を諳じることは出来ないまでも、一応音名のみは覚えられたたため、演奏前の不安は少なかった。 前回問題となった「日本人が歌えて覚えやすいソルフェージュ法」として、私は「西塚式音名」を使うことした。小学校の音楽教諭だった西塚智光氏が小学生にソルフェージュや楽器の演奏の指導をするために創り、音楽之友社「教育音楽 小学版」で1970年ごろ発表したもので、異名同音が無いのが特徴だ。 異名同音とは平均律における「ド♯」と「レ♭」の様に、同じ高さ(周波数)でありながら別々の名前を持つ音のことである。異名同音が無いのは、異名同音になる音に対して一つの音名しか使わない、名前を一つにしてしまうからだ。例えば、我々が普通使っている「ド♯」や「レ♭」(や「シ♯♯」)には、別の「デ」という発音の音名を使う。 普通の音名 西塚式音名 ド ド ド♯、レ♭ デ レ レ レ♯、ミ♭ リ ミ ミ ファ ファ ファ♯、ソ♭ フィ ソ ソ ソ♯、ラ♭ サ ラ ラ ラ♯、シ♭ チ シ シ 上の表で、西塚式では音名が17から12に減った。ウクレレに当てはめて考えると、弦を押える箇所に一つずつ一つだけ音名があるということになる。指板を押えた箇所が「ド♯」でも「レ♭」でもあって、どちらか分らないということはない。それは「デ」である。 この西塚式音名は小学生が音名で歌うために生れたのだから、もちろんそのまま歌える。「ド♯」を「ド」と発音したり、「ド・シャープ」と早口で歌う必要は無くなる。「デ」と歌えば良い。「歌って覚えることで暗譜する」という目的に、とても適していると思う。 西塚式音名を使って覚えるというのは自分が勝手にやっているのであって、ウクレレ教室の先生の指導ではない。だから、変化記号が付かない音名は西塚式でもそのまま「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」であるのもありがたい。例えばトニック・ソルファ法では「シ」は「Te」なのである。 何か良い方法はないものかと調べるまで、西塚式音名というものを知らなかった。Wikipedia に触れられていなかったら、知らないままだっただろう。西塚氏の発表した具体的内容が分らず、小学教育の枠を越えてどれくらい汎用性があるものとして提唱されたのかが不明なのが残念だ。素人考えではシンプル過ぎて問題点もあると評価される気もするが、溺れる者は藁をも掴む状態の自分にとっては「小学生でも使える」、「教育現場で実績がある」というのは心強い。もっと評価されていいものだと思う。

ウクレレ冬パーティー 2010

今日はクラチウクレレ冬パーティーだった。今回弾いたのは “Autumn Leaves" (『枯葉』)。夏の失敗を教訓として、難しいことはしない、アレンジも簡単に。 大きな失敗は無く終了した。実力以上には弾けないから、今はこれで満足。

暑い!

今年で三回目の参加となる蟹江町の Aloha de 一番街。今回から会場がホームセンターの駐車場に変更なっているのを知らなくて(知らなかったのは私だけだった)出番の一時間以上前に到着する様に出た。去年は控室には冷房があったが、案内された控え場所が舞台横の屋外テントだったので、すぐに練習を放棄して視界に入った喫茶店に逃げ込む。 出番が終った後も、フラを観るよりも避暑を優先した。だって暑さで倒れそうなんだもん。フラの人達には着替えの為に冷房の効いた控え室が用意されており、我らには部屋は無いものの建物には入れたので、Manoa Rainbow 登場までそこでウクレレ談義をして過ごす。(差し入れのビール、ご馳走様でした。) Manoa Rainbow in Aloha de 一番街 師匠らの演奏が進むに連れて日が沈み、ビアガーデン・タイムに。飲んでばっか。 来週は内海の海水浴場だ!

負けに不思議の負けなし

このところの夏季や冬季の演奏会などではまあまあ満足の出来だったので、今回は「弾ける曲」より「弾きたい曲」にチャレンジしてみたが……。 いつもの自己採点は、55点ぐらいな感じ。以前、曲の練習の仕方をいろいろ考えてみたが、今回の曲ではその方法で沿って練習することが出来なかった。何故かというと、メロディの音名を覚えられなかったから。 19日に弾いた、韓流ドラマ『ファン・ジニ』の挿入歌『貴方を想い』は、途中で Dm から Fm に転調するフラット天こ盛りな曲で、(ドラマは歴史モノだけど)現代曲なので、今までよく弾いていたハワイアンやジャズのシンプルなメロディとは違い、覚え難かった(覚えられなかった)。練習の時みたいに弾けちゃうという「不思議の勝ち」を狙ったが、駄目だった。綺麗な曲なので、これに懲りず、完成させたい。 ところで、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」という言葉は野村元監督が使って有名になったが、肥前国平戸藩の第九代藩主にして心形刀流剣術の達人、松浦清静山が著した剣術書『常静子剣談』からの出典なのだそうだ。