MUSIC

持ち物ダウンサイジング

断捨離と呼ぶには未練たらしいのだが、所有物(の少くとも体積)を減らして、部屋のスペースを増やす試みの一環として、三十年ぐらいオーバーホールや改造をしながら使ってきた自作の真空管オーディオ・アンプとスピーカーを処分した。どちらも変なところがお気に入りで、思い出深いものだが、いかんせん場所をとる。 中古製品の買取店は、今はPSE法遵守の都合、安全規格を取ってない電気製品は販売出来ないということで、 アンプの買取というより、バラしてネット・オークションで捌く為の部品の買い取りということなのだそうだ。なかなか良心的というのか、自分でヤフオクに出したら倍ぐらいになりますよと言ってくれたが、煩わしいので買い取ってもらうことにした。 スピーカーは故長岡鉄男氏設計のスワン D-101 で、Fostex の当時のバックロードホーン用ユニット FE106Σ を使って、ベニア板をひいこらジグソーで切って作ったもの。こちらの方は価値はほぼ無いのだろうが、一緒に引き取ってくれた。 売ったのはちょっと前のことなので、もうどちらもバラバラになって、あちこちの人のもとに渡っていったことだろう。ヘッドフォン以外で音楽を聴く環境が無くなるのも寂しいので、売ったお金で小口径のパワード・スピーカーを買った。こちらも、以前のシステムに負けないくらいに見た目が変なので、これはこれでなかなか。

シルバーウィーク

今年は5連休になったシルバーウィーク。大したことはしていないが。 大垣市で開かれた「ツール・ド・西美濃」という自転車イベントに、ゴールする人達を出迎えるサンバ隊の応援というか、見学に行った。 あとは、車に乗せてってもらって、北陸でアオリイカ釣りを。相変らず、1パイずつしか釣れない。「何故 何故 上手くイカないの〜」と歌いながらエギを投げ続けた日であった。

バトルフィールド・ブラジル

今はブラジル・ワールドカップの真っ最中。サムライ・ジャパンは自分達らしいプレーが出来ずに苦しんでいるが、彼等が実力を発揮出来る様願う。個人的には伸び伸びやってくれれば別に負けてもいいというか、コロンビアに勝てというのは無茶な要求だと思う。 ウクレレでブラジル生れのボサノバを弾くことが多いので、ブラジル音楽にもっと馴染んだらもうちょっと上手くならないかと思って、最近解説本を読んだり、ブラジル料理を食べたりしている(←関係ない)のだが、先々週、名古屋のセントラルパークでブラジル・フェアがあってライブがあるというのでちょっと行ってきた。 LUMIX DMC-GF1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH. 一番の目当ての、演奏ジャンルが「ボサノバ」と書いてあったデュオは、NHKのど自慢で(演歌を歌って)優勝した経歴を持つブラジル人の旦那さんと日本人の奥さんの夫婦という紹介で、バックは生バンドではなくカラオケでどうも期待したボサノバを歌いそうもなかったので途中で聽くのを止めて会場を離れた。最初に出てきたバンドはサンバの生演奏だったので、まあ良しとしよう。屋台でいろいろ買って食べたし。(←関係ない) そういえば、このブラジル・フェアには名古屋駅西がホームの御当地アイドル「dela」も出演していた。なんでアイドル・グループがブラジル・フェアに?と思ったが、メンバーの一人が日系ブラジル人の女の子なんだとか。 二週間後に迫った夏の演奏会で弾く予定の曲もボサノバである。今日、月例の演奏会で弾いてみたところ、全然ダメであった。前途多難。本番でちゃんと弾きたかったら一向追い込みに励めという啓示であるようだ。南無南無。

朴葵姫コンサート

三連休の初日だった土曜日、クラチ・ウクレレのメンバーとして皆と名古屋ハウジングセンター春日井会場でウクレレを弾いた後、名古屋へコンサートを見に行った。この日は名鉄ホールでウクレレ界のスーパースター、ジェイク・シマブクロのコンサートがあったのだが、自分が行ったのはのジェイクではなく、クラシックギター界の美しき新星こと、朴葵姫(パク・キュヒ)のコンサートだ。 大ファンなので、演奏後のサイン会の長蛇の列に並び、握手までしてもらって、キモいオヤジ状態になっていたが、その彼女の手の小さかったこと! 自分は「手が小さいからギターを弾くのはとてもじゃないが無理で、挫折はほぼ必然だった。でもウクレレなら出来るかも」という気持ちでウクレレを始めた訳だが、握手のことを思い出す度に「手が小さいのが弾けない原因ではなく、単に努力や工夫が足りなかっただけだ」という事実を突き付けられている様に感じる。(ファンとして握手してもらったことを純粋に喜べないのはもったいない様な、でも容姿だけではなく演奏家として評価しているからだと考えればこれで良い様な… )

指板を度数で見る

前回のCメジャースケール(ハ長音階)の図を、ド(C)をルートとした度数で書き直すと以下の様になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ 6┃ |7 |R | |2 | |3 |4 | |5 | |6 | | 3┃4 | |5 | |6 | |7 |R | |2 | |3 |4 | R┃ |2 | |3 |4 | |5 | |6 | |7 |R | | 5┃ |6 | |7 |R | |2 | |3 |4 | |5 | | ┗━━┷━━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷ この図がウクレレの指板の『構造』だと言って良いと思う。(いや、チューニングが変わると変化してしまうので、スタンダード・チューニングや Low-G チューニングの『構造』だと言う方が正しいか。)ウクレレはギターと同様にフレットを登り降り(この図では横移動)しても相対位置が同じならば関係は変らないため、この図を音名を書いた指板の図に重ねて左右に動かして或る音名に「R」を合せれば、その音名のメジャースケールが分るだろう。 この大きな図を、指が届いて使い易そうなサイズで、各弦にルートが有る形に二つずつ切出してみる。 ●1弦ルート (P1) ━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━ ━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━ |6 | |7 |R | | |6 | |M7|R | | |3 |4 | |5 | | = |M3|11| |5 | | |R | |2 | |3 | |R | |9 | |M3| |5 | |6 | |7 | |5 | |6 | |M7| ━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━ ━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━━┷━ (P2)

指板の音名を覚える

今年のウクレレの練習の目標、というか方向性として、自分でメロディの簡単なアレンジやアドリブが出来る様になることを目指そうと思う。なかなかハードルは高そうだが、それが出来れば自分も「中級者」になれるんじゃないかな。 ギターでアドリブをする練習方法について検索すると、「アドリブが出来る様になる為には、まずは指板の音名を全部覚えろ」ということらしい。ギターがそうなら、たぶんウクレレでもそうなんだろう。ウクレレ・ソロをやっているからにはある程度は覚えているのだが、きっちり覚え直す必要がある。 弦が4本であるウクレレの指板を先回紹介した西塚式音名で12フレットまで埋めると、下の図の様になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ ラ┃チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ |サ |ラ | ミ┃ファ|フィ|ソ |サ |ラ |チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ | ド┃デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ |サ |ラ |チ |シ |ド | ソ┃サ |ラ |チ |シ |ド |デ |レ |リ |ミ |ファ|フィ|ソ | ┗━━┷━━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷━━┷━━┷〇━┷━━┷〇━┷ 「ウクレレの神様」ハーブ・オータはウクレレを始めたとき、まず最初に指板上の音名を全て覚えてしまったと、何かで読んだ気する。しかし、24フレット継ぎで弦が6本あるギターと比べれば相当増しとはいえ、ぎっしり音名が書かれた図は何度見てもげんなりする。これを一遍に全部覚えろと言われても、「神様」ではない自分に出来る気がしない。 「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」(ピアノでは白鍵)だけを記入すると下の図になる。 ┏━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯━━┯ ラ┃ |シ |ド | |レ | |ミ |ファ| |ソ | |ラ | ミ┃ファ| |ソ | |ラ | |シ |ド | |レ | |ミ |

ドレミの歌の憂鬱 4

(前回から続き) 冬の演奏会が無難に終ってほっとした。今回はコード進行を諳じることは出来ないまでも、一応音名のみは覚えられたたため、演奏前の不安は少なかった。 前回問題となった「日本人が歌えて覚えやすいソルフェージュ法」として、私は「西塚式音名」を使うことした。小学校の音楽教諭だった西塚智光氏が小学生にソルフェージュや楽器の演奏の指導をするために創り、音楽之友社「教育音楽 小学版」で1970年ごろ発表したもので、異名同音が無いのが特徴だ。 異名同音とは平均律における「ド♯」と「レ♭」の様に、同じ高さ(周波数)でありながら別々の名前を持つ音のことである。異名同音が無いのは、異名同音になる音に対して一つの音名しか使わない、名前を一つにしてしまうからだ。例えば、我々が普通使っている「ド♯」や「レ♭」(や「シ♯♯」)には、別の「デ」という発音の音名を使う。 普通の音名 西塚式音名 ド ド ド♯、レ♭ デ レ レ レ♯、ミ♭ リ ミ ミ ファ ファ ファ♯、ソ♭ フィ ソ ソ ソ♯、ラ♭ サ ラ ラ ラ♯、シ♭ チ シ シ 上の表で、西塚式では音名が17から12に減った。ウクレレに当てはめて考えると、弦を押える箇所に一つずつ一つだけ音名があるということになる。指板を押えた箇所が「ド♯」でも「レ♭」でもあって、どちらか分らないということはない。それは「デ」である。 この西塚式音名は小学生が音名で歌うために生れたのだから、もちろんそのまま歌える。「ド♯」を「ド」と発音したり、「ド・シャープ」と早口で歌う必要は無くなる。「デ」と歌えば良い。「歌って覚えることで暗譜する」という目的に、とても適していると思う。 西塚式音名を使って覚えるというのは自分が勝手にやっているのであって、ウクレレ教室の先生の指導ではない。だから、変化記号が付かない音名は西塚式でもそのまま「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」であるのもありがたい。例えばトニック・ソルファ法では「シ」は「Te」なのである。 何か良い方法はないものかと調べるまで、西塚式音名というものを知らなかった。Wikipedia に触れられていなかったら、知らないままだっただろう。西塚氏の発表した具体的内容が分らず、小学教育の枠を越えてどれくらい汎用性があるものとして提唱されたのかが不明なのが残念だ。素人考えではシンプル過ぎて問題点もあると評価される気もするが、溺れる者は藁をも掴む状態の自分にとっては「小学生でも使える」、「教育現場で実績がある」というのは心強い。もっと評価されていいものだと思う。

HD 410SL レストア

昔、最初に SENNHEISER (ゼンハイザー)の HD 410SL を買って貰って以来、ヘッドフォンは(iPod などに付属品で付いてきたのは除き)SENNHEISER を使っている。特別の拘りがあるという訳でもないが、聴き慣れた音の安心感、今まで使っていたという親近感、それと、チープだけどちょっと楽しい変なデザインに惹かれて、ついついこのメーカーの製品を選んでしまうのだ。 HD 410SL は軽量で、スポンジ剥き出しのイヤーパッドのソフトな装着感がなかなか良かったのだが、このスポンジがドロドロに溶けてしまったのと、信号線の取り付けの付け根が折れ、接触が悪くて音が途切れがちになってしまって他のに換えた。それでも何となく捨てられずに、不使用品入れに入れっぱなしになっていた。(←基本的に、物が捨てられない) 数日前、「直そう」という気持ちが急激に高まって、ネットで調べていたら面白いページに辿りついた。 ・HD414SL スポンジ工作 実は自分もイヤーパッドを自作して付けていたこともあったが、この様な本物に近い恰好良いものじゃなかった。真似してみるかな、でもスポンジを綺麗に加工するのは難しいんだよなと思って、もうちょっと調べていたら、色はオリジナルと同じ黄色ではないものの、HD 410SL にも取り付けることが出来る黒のイヤーパッド(033175)があることが分った。しかもそれは国内の通販サイトで買うことが出来た。(そこでは、HD 410SLに取り付けられるとは書いてない。)民生品で、製品の販売終了から 22年経っても保守部品が手に入るとは、さすがドイツ・メーカー。 折れた信号線の取り付け部は接着剤が効かない材質だったので、フライを作るための糸(タイイング・スレッド)で巻いてからヘッドセメントを塗って固めた。とりあえずはこれで良さそう。 久し振りに HD 410SL で音楽を聴いた感想は「別に、高音質というものじゃ無いな」という感じで。昔はオーディオ製品は高かったから良い値段したけど、高級品といえるクラスではなかったし、まぁこんなものかなと思ったが、他のヘッドフォン・ジャックに刺してみたら最初より結構良かった。どうも、ヘッドフォン・アンプ部のドライブ能力が低いと駄目らしい。 真っ黒でまだ見慣れないけど、復活した HD 410SL 。これに味を占めて、次に使っていたヘッドフォンも直せないものかと……。

ドレミの歌の憂鬱 3

(前回から続き) 日本では、シャープやフラット付きの音も、それらが付いていない音名・階名で歌う。音名唱法(または固定ド唱法)では、B♭は「シ」となる。それは「シ・フラット」では時間がかかり過ぎて本来の速さで歌えないからだが、BとB♭の区別がつかないのでは「音名を歌って覚えることで暗譜する」為には甚だ不都合である。 他の国ではもっと合理的なソルフェージュを行っているらしい。コダーイ・システムやトニック・ソルファ法では半音違う音にも別の発音を割り当てているので、日本の様に訳が分らないことにはならない。特に、英語圏で使用されているトニック・ソルファ法はとてもシステマティックで、白鍵の Doh(= ド) Ray(= レ) Me(= ミ) Fah(= ファ) Soh(= ソ) Lah(= ラ) Te(= シ) に基いて、黒鍵をシャープとして扱う場合は母音が “e" になった De(= ド#) Re(= レ#) Fe(= ファ#) Se(= ソ#) Le(= ラ#) 、フラットの場合は母音が “a" になった Ra(= レ♭) Ma(= ミ♭) Sa(= ソ♭) Ta(= シ♭)となる。 この素晴しいトニック・ソルファ法を使えば暗譜のための問題は解決!……なら良いのだけれど、残念ながら(私を含む大半の)日本人にとってはそうはならない。英語耳を持たない日本人には、上記のそれぞれの音の発音を使い分けることは困難なのである。そこで、区別して発音出来る様に各人工夫してしているのであるが、そうするとトニック・ソルファ法のシステマティックな利点が崩れてしまい、また、日本におけるトニック・ソルファ法の標準が無いという状態になってしまう。 (続く)