FLY-FISHING

ロッドもいろいろ

近所に新しい本屋が出来たので寄ってみた。そこで久しぶりに『Fly Rodders』誌を立ち読みしてみると、『よろずや』の齋藤さんの書いた、ロッド・メーキングの記事が出ていた。 同誌に以前載った千葉さんの『二枚張り合わせバンブー・ロッド』でパワー・ファイバーを削ってしまうことに抵抗感がある人に対して、ファイバーが多い表皮側を放射状になるように六つのスプリットを張り合わせることを紹介したものだ。齋藤さんも記事中に書いておられるが、この方向にスプリットを張り合わせるロッドは吉田さんのロッドのラインナップにある。この方向の張り合わせだと六角の竿である必然性が薄れるので、このタイプの吉田さんのロッドは丸く整形さている。 今年の石徹白のイベントに齋藤さんが出店されていて、吉田さんのブースの隣だったので、差し入れのバジル・シードのデザートを無理に(?)食べてもらったが、すかさず「バジルの種が水を吸うと表面がゼリー状になって膨らむのは何の為か?」という質問が出たのには、さすがはビルダーだなと思った。私もそれを知りたいと思っていたのだが、今のところ分からないままだ。誰か知りません?

竹の焼ける甘い匂い

先週末、久しぶりに竹の火入れをした。 以前から電気コンロを使っていたが均一に焼くのが難しく、漏斗を使って熱気を集中させる千葉さんの方法を雑誌『Fly Rodders』で見て、今度真似してみようと思っていた。写真で漏斗の注ぎ口部分を切り取ってあったのを見て予想していたのだが、面倒だったのでそのまま使ったらスプリット(竹を裂いたもの)より漏斗の口の方が狭いので熱が集中しすぎて均一に焼けない(千葉さん、こういう理解で合ってます?)。なんだかんだで、いつもと同じように斑模様の焼き上がりに。 『火入れ』とか『焼き入れ』というのは、竹の弾性を増すために行う熱処理のこと。どうして火入れをすると弾性が増すのか、今のところ、納得のいく説明に出会ったことがない。火入れを行うと竹に含まれている水分が数%まで落ちて云々と書いてあったりするが、「ご理解いただけましたか?」とか書かれても理解出来ない。火入れをした後暫く置いておけば空気中の水分が戻る気がするが、そのときはただ乾燥させた竹と比較してどうなのだろうか。 竹の『油抜き』処理を『火入れ』と同一視する説明もあるが、竿作り以外のジャンルでは、竹を煮るのも『油抜き』だし、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使う『油抜き』もある。煮たら水分はどうなってしまうのか。苛性ソーダで処理をすると火入れをしなくても良いのか。 ともかく、どうしてなのか誰も知らないけどお馬が皆パッパカ走る様に、火入れをすると竹は弾性が増すのである。 竹を焼くととても甘い匂いがする。いつも火入れをするときに、何か御菓子でも出来ないのかなと思う。

イノシシ VS. ビルダー

先日『アートヴィレッジぎふ』にT.Craftの土屋さんを訪ねたとき、バンブーロッド・ビルダーの吉田さんも来ていて、二日前の台風でブースのテントの屋根に溜まった雨水を土屋さんと落としているところだった。土屋さん、吉田さんと三人で、どの屋台のエスニック料理を食べたかで盛り上がる。 ガンガンいろいろ食べたという、そんな吉田さんを紹介した記事が『ケリー』増刊号の『agim.(アギム) 秋号』東海版に載っていると最近知り、当然早速入手した。 吉田さん 吉田さんは名古屋に工房を構えるビルダーで、記事でも紹介されている様に日本産の真竹を使用している。記事は日本中で荒廃していく竹林に向き合う職人の紹介という点から書かれていて、あまり専門的な事は書かれていないが、(吉田さんのロッドを通じて真竹に)「世界的に著名な竹竿作家も興味を持ち、依頼に応えて何人かには日本から送った」という送り先とは、実は日本からもオーダーが殺到しているあの…おっと、出しゃばったまねは止めておこう。 全国的に出回っている雑誌ではない様な気がするが、東海地方のフライフィッシャーは本屋で『agim. 秋号』を探してみてはいかがだろうか。 吉田さん、記事では「イノシシの食害と戦いながら真竹の良さを世界に発信」となっていますが、どうか直接イノシシと対決してお怪我をされませんように。

BOKO!

10月11日、『アートヴィレッジぎふ』に出店しているT.Craftの土屋さんのブースを訪ねた。 釣りのイベントではないので、ランディング・ネットよりもペン・スタンドや花器の台など、一般の人向けの品物を多く出されていた。そのなかで、値段も手頃で木目が気に入ったペン・スタンドを買った。 花梨の瘤を使って作られているとのことで木目、色合いに変化があり、オイル・フィニッシュの手触りも心地いい。 無理矢理、タイイング・ツールを立てようと思っている。でも、ちゃんとタイイング用の『BOKO!』がありますよ。

我らが敵にして友

今日10月4日は天才ピアニスト、グレン・グールドの命日なのだそうで、巡回しているサイトでも取り上げられていた。 ・松田純一Macテクノロジー研究所 グレン・グールドの命日に彼の映像を見る! ・Letter from Yochomachi 10/4 Today グレン・グールド没 (1982.10.4) グレン・グールドの名を見聞きするといつも、湯川豊著『イワナの夏』に書かれているエピソードを思い出してしまう。グールドは六歳のとき、釣り上げられた魚がのたうちまわるのを見て以来、超過激な『釣り師撲滅運動家』になる。そして −− 彼は青年時代もひきつづき夏になるとシムコー湖畔にある別荘で過ごしたが、その時こそ憎っくき釣り師に地獄の責め苦を味あわせる好機だった。グレン・グールドは町にいてもそうであるように、真夏なのに部厚いオーヴァー・コートとハンチングで身をかため、モーター・ボートで湖に乗り出すのを日課としていた。「釣りをやめろ! ただちにやめろ!」と絶叫しながらモーター・ボートで走りまわり、釣り師を蹴散らし、湖の水をかきまわした。 (湯川豊著『イワナの夏』ヤマメ戦記 より) こんな人が近くにいたら大変である。でも湯川氏はそのグールドに、ある種、釣り師と同様なものを感じて「わが友よ」というのである。 グレン・グールドの演奏を聴いてみたくなってきませんか。どうもブログを書いていると、することが増えてしまう。先日『ブラッド・スポーツ』とタイトルを付けたものだから、ロバート・F・ジョーンズの小説『ブラッド・スポーツ』を借りて来て読む羽目になったばかりなのに…

また来年

9月最後の休み、シーズン最後の釣りに行った。 釣れる魚のサイズは回を追うごとに小さくなっていき、今回遂にチビ共ばかりに。もっと良い型の魚も、川にはちゃんと居るのですがね… 来シーズンも釣りが出来ます様に。

或る日、森の中で

先回この川に来たとき、釣り終えてまだ車まで3、40分はかかる林道を歩いていると、イブニング狙いなのか、二人の釣り人がその道を上って来た。釣り人同士が出会ったときのお決まりの挨拶をした後、一人が言った。「熊に遭ったか?」 その日、林道と川の間の場所で熊を見たのだそうだ。今から一人で通る道で熊が出たと聞いて良い気持ちはしなかったが、鈴を手で鳴らしながら行けば大丈夫だろうと思った。人に遭遇した直後なら熊の方も警戒して鉢合わせすることもないのではということもあったし、そもそも釣り人は他の釣り人の話をあまり信用していないのだ。(自分だけか?) その二人組が親切心から教えてくれたことを疑う要素は何も無いのだが(というか、きっとそうなのだが)、渓流釣りは先行者がいるとその日の釣果がほとんど期待出来なくなるし、その川で沢山釣られると魚が減ってしまうので、釣り人同士は基本的に『ゼロサム・ゲーム』をしており、「みんなで仲良く場所をシェアしましょう」というラブ&ピースな間柄ではない。とはいえ、他の釣り人に出会ったときに一々気分を害していたり、小競り合いをするのも大変な訳で、そこは大人に挨拶、調整、交流、自慢の場にするのである。他の釣り人の話を聞くのも楽しいものだが、そこで交わされる会話がいつも真実であるという保証は無い。それは相手を牽制する良い機会でもあるからだ。 ● ● ● ● 今度の釣行は台風の影響か、渓相が大きく変わってしまっていて、釣果が芳しくなかった。日が沈む前に車に辿り着かなければと、林道に上がり、歩き出してから暫くしたときだった。足下を見ながらだらだら歩いていると、前方でガサガサッという音がした。顔を上げると、林道から山に駆け上って行く黒い動物のお尻が見えた。 教訓: 人を疑うなかれ。たとえ相手が釣り人でも。

ブラッド・スポーツ

なんせ、近頃の国内のニュース(番組)は特に気が滅入るので、テレビのチャンネルをBSに換えると、映ったのはイギリスで狐狩りを禁止する法律が可決されるのを阻止したいデモ隊と警官隊が衝突しているBBCの映像だった。 衝突で怪我人を多く出して議場に反対派が侵入したので、この事件は日本の新聞にも載り、テレビニュースでも取り上げられた。 ・asahi.comの記事 ・NHKの記事 狐狩りをしている人が何万人もいるというのも不思議な気がしたが、単なる『趣味』以外に、農業などへの被害を防ぐための『駆除』という目的もある様だ。そうであっても、現在のイギリス国民の大半にとっては狐狩りが残酷な行為と理解されているからこそ、現政権が法律の制定を公約にしているのだろう。 狐(そしてイルカ、クジラなど)に比べると魚類に対する同情が集り難いためか、魚釣りという『残酷な行為』を法律によって禁止しようという話は今のところ聞こえないが、将来にわたって安泰だという保証はないと思う。 私が子供の頃に釣りをした川には今、釣り禁止の看板が立つ。善良なる大人らの考えのもと「川に親しもう」というスローガンを掲げて錦鯉などを放流した。丸々とした鯉達が底を真っ平らに均された浅い川を背びれを出して泳いではいるが、子供達の姿はそこにはない。

あと一月

9月になって、山は毬栗が落ちていたりと、秋の気配も。渓流はあと一月で禁漁になる。 今週の釣りは、雨で早く切り上ることになった。残りの釣行は天候に恵まれると良いのだが。

アマチュア・ロッド・リビルダー

自作ロッドのティップが(いつの間にか)折れてから一週間足らずで早くも復活。時間があったので先程、公園で試し振りをしてみた。 折れたロッドを見ながら、どうやって修理しようか考えた。 (1)折れたところを接着する (2)新たにティップを作る (3)折れたティップから短いティップを削り出す とりあえず手っ取り早いのは(1)だが、近頃少しこのアクションに飽きたところだったので、どうせなら違うアクションにしようと思い、これは却下。一般的なバンブー・ロッドの場合、(2)となるだろうが、Kawagarasu工法ならではの(3)でいくことにした。その方が面白いし、貴重な材料を次のロッドのために温存出来る。 折れるの前の長さは6’11”で、修理後は6’1”となった。『ワンアンドハーフ』は2ピースのティップ側が長いのだと思うが、バットが長くても『ワンアンドハーフ』なのか。ひょっとすると『ハーフアンドワン』? 以前デロンデロンだったアクションはがかなりマトモに。どうもダメージを受けたロッドを直すとアクションが良くなる。最初が如何にヒドいかという…。