我らが敵にして友

今日10月4日は天才ピアニスト、グレン・グールドの命日なのだそうで、巡回しているサイトでも取り上げられていた。

・松田純一Macテクノロジー研究所
   グレン・グールドの命日に彼の映像を見る!
・Letter from Yochomachi
   10/4 Today グレン・グールド没 (1982.10.4)

グレン・グールドの名を見聞きするといつも、湯川豊著『イワナの夏』に書かれているエピソードを思い出してしまう。グールドは六歳のとき、釣り上げられた魚がのたうちまわるのを見て以来、超過激な『釣り師撲滅運動家』になる。そして −−

彼は青年時代もひきつづき夏になるとシムコー湖畔にある別荘で過ごしたが、その時こそ憎っくき釣り師に地獄の責め苦を味あわせる好機だった。グレン・グールドは町にいてもそうであるように、真夏なのに部厚いオーヴァー・コートとハンチングで身をかため、モーター・ボートで湖に乗り出すのを日課としていた。「釣りをやめろ! ただちにやめろ!」と絶叫しながらモーター・ボートで走りまわり、釣り師を蹴散らし、湖の水をかきまわした。

(湯川豊著『イワナの夏』ヤマメ戦記 より)


こんな人が近くにいたら大変である。でも湯川氏はそのグールドに、ある種、釣り師と同様なものを感じて「わが友よ」というのである。

グレン・グールドの演奏を聴いてみたくなってきませんか。どうもブログを書いていると、することが増えてしまう。先日『ブラッド・スポーツ』とタイトルを付けたものだから、ロバート・F・ジョーンズの小説『ブラッド・スポーツ』を借りて来て読む羽目になったばかりなのに…