FLY-FISHING

仲の良い犬、悪い犬

良く泊まる宿の犬には兄弟がいて、入漁証を買う店の近所に飼われていると訊いていたので、最近そこへ行くとついでに兄弟と思われる犬の顔を見てくる。 宿の犬とはかなり体格が違うので(特にウエストが)、こちらの方が弟だということにしている。性格は兄と似て友好的で、ご覧の通り、番犬としては役立っていない様である。 この日、別荘地横で釣りをしていると、鎖に繋がれていない、如何にも血統書付きの狩猟犬という感じの白い犬が駆け寄ってきて、この『何だか不審な行動をしている人物』に向かって威嚇を始めた。川の中まで入ってくる様子は無かったので無視して釣りを続けると、暫く吠え続けた後で引き返して行った。 待ち合わせの時間が来たので、ちょっと別荘地を失敬して横切らせてもらおうと川を上がると、それを先程の番犬君が察知して飛んできた。牙を剥き激しく吠えたて、今にも飛びかからんという感じで距離を詰める。「(やれやれ、こいつとやり合うとなると、こちらも相当の深手を覚悟しなくてはならないな。)」と考えながら林道へ少し急ぐと、相手は距離を保ったまま付いてくる。背中を見せてもお尻に噛み付かれないと分かれば、これ以上刺激せずに『三十六計逃げるに如かず』だ。奴は侵入者の敷地を出て行く意志を確認すると、深追いせずに他の侵入者の排除に向かった。こちらは憎たらしい程に優秀な番犬である。ともあれ、修羅場にならずに済んで良かった。

梅雨の中休み

先週の釣りも流れてしまったので、「今週こそは」と天気予報が気になる一週間だった。台風の影響もあってか予報がどんどん変わったけども結果的にはよく晴れて、渓流は新緑が眩しい日だった。 水量は多くてちょっと大変だったが、釣果は『ぼちぼち』というところか。ここは魚の反応はほとんど無いけど稀にデカイのが来て、大抵はバラして地団駄を踏むというパターン。今日は良い型は出ず、よって良型のバラしも無し。釣り上げた魚は直ぐに実感が薄れて夢幻の如くなるのに、逃がした魚は頭の中でずっと泳ぎ続ける。良かった様な悪かった様な。

石徹白 Fisher's Holiday

石徹白川で毎年行われている釣りのイベントが、今年も今週末に開催される。 ・石徹白 Fisher’s Holiday 石徹白(「いとしろ」と読む)というと、釣りをしない東海、近畿の人には、ウィングヒルズ白鳥リゾートやイトシロ・シャーロットタウンなどのスキー場がある所と言う方がいいだろう。 今回はちょっと顔を出すだけで帰って、次の日他の所に出撃しようと思っているのだけど、イベントは講習会やバーベキュー大会、抽選会など、いろいろやっていて、フライフィッシャーならロッド・ビルダーの方々が多数出展していて試し振りが出来るので、都合のつく方は行ってみては。 一昨年の抽選会で、私に当たったのは『渓流釣り入門』という本だった。腕に覚え有りとは言わないが、結構長くやっているのに…。「つまり、基礎からやり直せと?」と呟く私の横で、千葉さん、吉田さん、RYOさんらが、腹を抱えて笑っていた。

トクサ

釣りをする渓流にはいろいろな植物が生えている。それらを憶えたいとは思っているのだが、実際に釣りをしているときは「魚、魚、魚、魚、魚…」と、それどころではなくなっていて、どんな草木があったか殆ど記憶にない。 今回、釣り終わって林道に出ようと川を上がると、そこにはトクサが群生していた。 トクサは『木賊』または『砥草』と書き、サンド・ペーパーの様に使うシダの仲間だそうで、昔、庭に生えていて見覚えがあったのでそれと分かったが、水辺で群生するものだとは知らなかった。 スギナ(ツクシ)に近い種だそうで、そう言われれば天辺はツクシみたいになっているし、スギナのガサガサした感じは、トクサと似ている。 参考リンク: イー薬草・ドット・コム>>トクサ

フィッシュ・ファイト

ゴールデン・ウィーク中の釣行になった今回、意外にも道路も川も混雑無し。釣果も一転して好調。いつもこうだと良いのにねぇ… 今日は川の中でちょっと面白いものを見た。 或るポイントにフライを投げると、そのすぐ近くで魚の背が水面より上にぬっと出た。合わせると、乗らずにスッポ抜けてくる。魚は同じ場所でジタバタしている。「しまった、合わせ切れ(フライが魚の口に残ったまま糸が切れる)か」と思って仕掛けを見れば、フライはちゃんと仕掛けに付いている。 魚のジタバタは続いている。何をしているのだろうと近寄って見てみると、一匹だと思っていた魚(アマゴ)は実は二匹で、お互いを追いかける様にグルグル回ったり、噛み付き合ったりしている。魚を前にした釣り人の当然の行動としてフライを投げてみたが、連中はそんなものは眼中に無く、完全に無視して闘いは続く。 最初に投げたフライが引き金になったかどうか分からないが、恐らくこの二匹のアマゴは猟場の場所取りでもめていたのだろう。渓流魚は、安全でかつ効率的に餌が獲れるポジションを『強い』者から順に確保するらしい。『強い』は体格で決まる様だが、このアマゴ達は20cm弱の殆ど同じサイズだったので、実際に闘って優劣を決することとなったのだろう。 写真に撮ろうと近付き過ぎたため、勝負の決着は持ち越の模様。写真は上手く写らなかった。無念。

リハビリ

十月からの長いオフの間に、魚の釣り方をすっかり忘れてしまった様な、そんな気になる。今シーズン最初の釣行は魚を釣ることが出来なかった。何とか魚の顔を見たいと、また川に出掛けた。 八百屋のおばさんが「桜が咲き始めるはまだ一週間は後」という今日の川は、まだ河原に雪が所々残っていた。風が強く、自作2番ロッドでは苦労させられたが、何とか一匹釣ることが出来た。 最初に出た魚は自分のフライにアタックしていることに気付かずに「なんで彼処で魚が踊っているのかね」と思っているうちに合わせのタイミングを逃し、釣れた魚をデジカメで写そうとした時も、いつの間にやらネットから逃げられていたりと、更に何度も釣行しないと調子が戻らないみたいだ。

竹割りの続き

街はすっかり春になったのに、なかなか釣りに行くことが出来ないでいる。来週末もかなり怪しい状況。せめてもと、以前8分割にまで割ってあった竹を更に割る。 16分割以下になると、真っすぐに割れないとオシャカになってしまうものが出る。竹用の鉈を新調したのにかかわらず、なかなか上手く出来ない。ちょっとだけ慣れてきたところで材料が尽き、作業終了となった。 続きの作業をしたときに書くつもりで、ここまで引っ張ってしまったが: 以前、「身近な竹を穫って来て使う場合は、青竹の状態からどうするかという自由があり、工夫の余地があるわけで、日本の竹を使うことを選択したビルダーはそこから研究している。」と書いたが、吉田さんは自ら竹の切り出しに出掛けているとのことで、更に、竹林の管理にもかかわっているとのことである。 ・竹林プロジェクト 「竹の子からロッドまで」というコピーがいいですね。

『KING OF FLY』

先日、私の巻いたフライを見た方から感想を頂いた。 「つまり『フライ』ってのは『ハエ』のことですか?」 …この人がそういう印象を持ったは、私のフライを巻く腕前の所為であって、実際は『フライ=ハエの毛鉤』ではない。(フライの中にはハエを模したものも無くはない。)このとき涙を拭いつつ思い出したのは、平谷美樹(ひらや・よしき)著の短編小説、『KING OF FLY』のことである。 フライ・フィッシング関連の雑誌に、その名もズバリ『フライの雑誌』というものがある。大抵、一般の書店では扱っておらず、その筋の釣り具屋に行かないと入手できない(そういう意味では)マイナー誌ではあるが、ハウツーが主な内容である他誌とは一線を画し、買っただけでちょっと偉くなった気がする様な、『日本フライ界の権威』的雑誌である。 ある日、そんな『フライの雑誌』を読んでいると短編小説が載っていた。それを読み進むうち、「むむむ、これは変だぞ」と…。釣り雑誌に小説が載っても不思議じゃないが、何が変って、釣り雑誌に不釣り合いな程にクオリティーが高いのだ。フライ・フィッシングの描写も自然で、小説としても面白い。その書き手は、中学校教諭の肩書きの平谷美樹氏であった。 平谷美樹氏の『フライの雑誌』に掲載された幾つかの作品の一つである『KING OF FLY』は、或る大物の魚を狙い続けてもどうしても釣ることが出来ずに苦悩する男が、魔性の者に付入られてしまう話なのだが、この中で、ハエのフライが登場する。“fly”を辞書で引けば一般的な意味では『ハエ』であり、“KING OF FLY”とはフライ・フィッシングのショップの名前であると同時に… 氏はその後『エンデュミオン・エンデュミオン』でメジャーデビューを果たし、『エリ・エリ』で第1回小松左京賞大賞を受賞と、大活躍されているそうである。SF系作品が文庫本で出たら読みたいと思っているのだが、今の所、文庫本で出ているのは怪談物だけの様で、躊躇している。ただでさえ他の作品『恐怖の一夜』のお陰で、釣り場で時々怖い思いをさせられているのに… 参考リンク: 平谷美樹・私設ファンページ 角川春樹事務所-平谷美樹ショートショート on Web

ウォーター・スライダー?

ところで、河原でこんなものを見つけた。 道から川面に塩ビ・パイプが延びている。初めて見たが、おそらく魚を放流するためのものではないだろうか。他所の地域にはあります? 稚魚をドバッと流し込むのか、それとも成魚を一匹ずつなのか。

オープニング・ゲーム

今年最初の渓流釣りは、今まで行ったことのない川にした。近場開拓で、いわゆる里川タイプ。釣果は『零匹』。今年も現実は厳しい。 他の釣り人たちも苦戦しているらしく、川の横を走る道を右往左往している。年券(今シーズン有効の釣り券)を買った餌釣り師も、あまりの反応の無さに今後が心配そうだった。自分にとっては魚が釣れないことはちっとも珍しくないが、この川の常連が首を捻る事態ということは… 岐阜の川には鮎や渓流魚を川鵜に食べられ、釣りにならない所があるという話は聞いていた。よく行く川では川鵜を見かけないのでピンとこなかったのだけど、今日の川にはそういえば居た。関係あるのだろうか。