FISHING

座間味島へ (6) 救いの手

(続き) 岸に上って宿に戻り、どこかで遅い昼食をと思ったのだが、どこでも「営業時間は終りました」と言われて、あちらこちらをウロウロ。この日は「座間味島ファン感謝月間」の島民芸能ショーの日で、食べ物屋は皆、それに向けての仕込みに全力投球中。仕方がないので島唯一のスーパー(?)、105ストアで売れ残りのゴーヤ炒めの弁当を買い、宿で食べる(結構、旨い)。 暫く島の散策をして休憩。夕飯までの時間にまたイカ釣りに出掛ける。なんせ、まだ1パイなので、なんとか烏賊墨汁になる量にしなくてはならない。朝のポイントから更に足を伸ばして、すごいスミ跡があったという港を目指す。すると、昨日にいろいろ教えてくれた親切な釣り人にまた会った。夕方にはいつも釣りをしているみたいだ。教えてもらったポイントで(一応)釣果を上げたことを報告し、その先のポイントについても情報をもらう。 目的の港に行ってみると、地元のおじさんの先客あり。一緒に釣らせてもらう。話に聞いていたスミ跡は、それはもう市販の墨汁を一、二本分散いた様な黒々としたもので、一体どの位大きい奴だったのかイメージが涌かない。これ、アオリじゃないんじゃないか。 結構粘ったが反応が無くて、もうそろそろタイムリミット。帰る途中、先刻の人がまだ釣りをしていたので挨拶をと寄っていって、(無)釣果の報告をする。すると気の毒に思ったのか、釣ったアオリイカを四ハイ全部呉れた。流石に悪いと思ったし、釣り師として貰うのはどうかと思わなくもなかったのだが、烏賊墨汁を楽しみにしている旅の連れや、(何となく期待させてしまっている他の客や、)何より宿のおばぁのことを考えれば、プライドに拘らず素直に厚意に甘えることにした。(それに、ブログの「自虐」ネタ的にもグッドだ。) こうやってイカは確保された訳だが、その日の夕飯になることはなかった。何故なら島民芸能ショーの売り上げに貢献するため、夕飯は作らないことになっていたからだ。(宿の名誉の為に書いておくと、宿代はちゃんとその分安くなっているのである。)宿に着くと他の宿泊客にどうだったかと訊かれる。イカを見せると褒められるが、いや、自分で釣った訳ではなく他の釣り人に頂いたものだと頭を掻きながら説明する。着替えて会場に向った。 座間味島 LUMIX DMC-GF1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH. (続く)

座間味島へ (4) プレッシャー

(続き) なんとか手ぶらで宿に帰ることは避けられたものの、たった1パイでは面目を保ったとは言えない。とても大きなビニール袋に入れた小さなアオリイカを宿のおばぁに渡すと、笑って「もっと釣ってきたら、一緒にイカ墨汁を作ってあげる」と言われる。イカ墨汁作るのには、あとどのくらい釣らなくちゃならないんだろう…。 自分の感覚では、新鮮なイカの一番美味しい食べ方といえば刺身じゃないかと思うのだが、沖縄の人にとってはどうも違うらしい。そういえば、泊港の市場でも生の白イカ(アオリイカ)は「おつゆ用」として売っていたし。はたして食事のおかずが増えるかどうか、それは今後の釣果に掛っている。 朝食の後、今度は海でのフライ・フィシングに挑む。と言っても、イシミーバイなどの「小物」狙いである。(もちろん、「大物」が掛るのは歓迎。) イシミーバイは以前も釣ったが、まだ食べたことことはない。美味しいらしいので、これも宿に供給して食べてみたいところだ。 さて、何処で釣るか。先刻までエギングをしていたところは、イカが居たということはイカの餌があった訳だから、他の魚にとっても悪い場所ではないはずだ。立ち込んでみれば、イカが居たのがどんな所だったのかよく分って一石二鳥。という訳で、また同じポイントに戻る。着いてみると、すぐ沖に船が二艘停泊していた。リーフの向こう側ではあるが漁船が来る場所なら釣りにも悪くなかろうと思ったが、後でその船が漁船ではないことが分ってきた。そこでダイビングをしているのだ。こんな近いところで? あと、カヌーやらシュノーケリングで岸の方に人がやってくる。そんな中で怪しい釣りをしていると、アウェー感たっぷりだ。この島の客ははほとんどダイバーである。基本、釣り人は金を落さないし、観光資源である魚を獲る訳だから、歓迎されているとは思えない。それに今、リーフに立ち込んでいるから、相当視線が痛い。でも続ける。 しばらく釣っていると、リトリーブに手応えが。イカ以外の最初の釣果はイシミーバイか? 寄せてくると、ん? 今迄に釣ったことのあるモチノウオの仲間の様な、違う様な。以前石垣島で、地元の人に食べるかなとモチノウオ系の魚を見せたが、食指が動かなかったみたいで「逃してあげましょうねー」と言われてしまったので、宿に持って帰って「この魚は食べない」と言われると無駄に命を奪うことになってしまうと思って放すことにした。(今写真を見てみると、ちょっと長細くてベラかなと思ったこの魚、メガネモチノウオ(ナポレオン・フィッシュ)の幼魚の様な気も どうもヒトスジモチノウオらしい。) イカに続き、魚もなかなか簡単には「おかず」にならないみたい。 (続く)

座間味島へ (3) マリリンとイカに逢いたい

(続き) 翌日。5時に起きて、島に渡る前に買った餅の菓子で少し腹拵えをする。外は風が強い様で、ごうごうと音がしている。雨も降っているかもしれない。態々沖縄まで来て辛い状況で釣りをするなんてことやってないで、のんびり寝ているべきではないかという気持ちと、ここまで来て見す見す大物を釣る機会を逃がせば後悔するという思いの葛藤の末、合羽とライフジャケットを着込んで、未だ暗い中ヘッドランプの明りを頼りにポイントに向う。 前日の下見ではイカが釣れた痕跡はなかったが、とりあえず明るくなるまでは足元がしっかりしている港内でというのが無難だろう。闇に向ってエギを投げる。一投、二投、三投。このあたりで「沖縄だったらイカがバカバカと」という夢はやはり夢であったということになった。時折、微かに空を切り裂く音が聽こえてくる。どこかに他の釣り人が居るらしい。何を釣っているのか。彼は何か釣れているだろうか。 多少は移動しながら投げ続けて、もう何投目だか分らないが、ついにロッドに振動が伝わってきた。しかし、直ぐにそれは止んでしまった。リールを巻いてみると、エギが無くなっている。イカじゃなくて、何か歯の鋭い魚だったかもしれない。ダツかタチウオか。あるいはリーダーが根擦れで切れたのか。こうなったら何でもいい。何か掛れとエギを投げ続けたが、その後は生き物の手応えはなかった。 明るくなっても暫くそこで粘っていたが、反応したサカナの正体を明かすのは諦め、アオリイカが釣れていたポイントを目指す。海岸は少しだけ離してテトラが入れられていてエギを手前まで巻き寄せてこれないところが多く、釣りが成立する場所は意外と限られる。テトラの切れている場所でエギを投げる。投げるが、反応なし。実績ポイントだが、満潮直後で潮の動きがない時間帯なのが駄目なのか。エギの操作の所為か、パックロッドで距離が出てないからか・・・ 宿の朝食の時間が迫る。このまま手ぶらで帰るのは釣り人の沽券にかかわる。そのとき、重い手応えが。 ち、小さいな。でも昨日の人もこういうサイズだったし。数が釣れれば、宿の客一人に一皿ずつイカ刺付き朝食になるから問題ない・・・と続けたものの、その後はサッパリで、タイムアップ。 (続く)

座間味島へ (2) ポイント探し

(続き) 那覇市 泊ゆいまち LUMIX DMC-GF1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH. 乗ることが出来る船の都合で那覇の泊港の魚市場などで時間を潰して、座間味島に着いたのはもう夕方だった。民宿にチェックインして、夕飯までの間に釣りのポイントを探しに出掛ける。明日は暗い時間からアオリイカ釣りを始めるつもりだから、日のあるうちに感じを掴んでおきたい。幸い、沖縄は日が沈むのがこちらより遅いので、まだ大丈夫だった。 まずは港の中から。沖縄のコンビニで去年買った本に紹介されているイカ釣りポイントに行ってみたが、墨痕がない。アオリイカなどを釣り上げたとき怒ったイカが墨を吐くので、コンクリートなどに残った墨痕はそこがイカが釣れる場所であるという有益な情報となる。それが無いということは……。いきなり、前途多難の気配。ひょっとしてシーズン外してる? こうなると、港内以外のポイントも探さなくてはならない。港から離れて歩いていると、釣竿を持っている人を発見。しかも、どうやらエギングをしているみたいだ。良かった。イカは釣れるんだな。 近寄ってみると、その人は他の観光客に釣れたアオリイカを見せているところだった。こちらで言う春アオリの様に巨大ではなく、秋アオリのサイズだが、これくらいでも卵を持っているそうだ。沖縄で「シルイチャー」、「白イカ」と呼ばれているイカはこっちのアオリイカとちょっと違うのか、温暖な海では多様性を見せる様になるのか分らない。自分も釣りに来たことを伝え、ここでの釣りについて訊いた。親切な方で、快く教えてくれた。 さあ、明日の早朝から挑戦開始だ。 (続く)

座間味島へ (1) 愛知の敵を沖縄で討つ

今年のアオリイカ釣りは、春秋共に全然駄目であった。どっちも1、2回、潮回りや風の条件が良くない、日中にしか行けなかったにしても、年間0杯というのは情けない。今年も沖縄に行く計画があって、しかも本島から座間味島に渡ることになったので、「これはエギングの道具を持って行かなくてはなるまい。ここで一気に逆転。それはもうデッカい親アオリをバンバンとだな」ということになった。 自分の島での行動を釣りメインで考えて、イカだけじゃなくて、いまいち実釣と雑誌で仕込んだ知識のイメージが合わないイシミーバイ(や、何か分らないが大物対象)のフライ・フィッシングも再挑戦することにした。流石にこの時期は海パンでのウェーディングは辛そうなのでウェーダーも要るだろうしという感じで装備が多くなり、本島での行動日もあったので、邪魔な釣り道具一式は宅急便で宿に送って、また向うから送り返すことにしたい。座間味島への旅行者は大半がダイバーで、機材を宿やダイビング・ショップに送っておくというのは珍しいことではないらしく、おかげで数日前に宿へ問合せたらあっさりOKと言われた。(それは良かったのだが、そもそも宿泊予約が取れてなかったのにはビビった。) こっちではもう陸っぱりのアオリイカ釣りシーズンは終ってしまっているけど、沖縄ではこれかららしいということはネットで調べた。問題は、沖縄でどんな風にアオリイカを釣るのか知らないことだった。港内ならこっちとあまり変らないと思うが、リーフ内は浅く、すぐ根掛りしそう。同じエギングでも、何か特別な工夫のあるエギを使うのだろうか。表層の釣りになる? 考えても分らないので、行っていろいろやってみるしかあるまい。 那覇市 農連市場 LUMIX DMC-GF1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH. (続く)

俺達の本当の戦いはこれからだっ!

ウクレレの演奏会も終ったので、アオリイカ釣りに行った。今までは新子を狙って秋にしかやっていなかったが、今回は産卵を控えた大きな親イカ狙いにチャレンジ。 で、どうだったかというと、アタリもなし。うーん、時期が遅過ぎるのかなぁ。でも墨跡らしきものが有ったしなぁ。どこか、もっと釣れるところでやってみたい。

二勝目

連休初日、知多へ今期初のアオリイカ釣りに出掛けた。十一時ごろ始めたのだが、周りでイカが釣れている様子は全然無し。自分にもまったく手応えが無い。午後二時ごろになると、朝から居る人達が帰り始めた。 すると夕方から夜狙う人達がやって来たので、情報交換。いつもの通り「先週は良かった」と言われる。その「先週」になかなか辿り着けない。どうなっているんだろう。 四時ごろ、煽ったところでゴンと手応え。あれ、イカだったのかな。ちょっとドラグが強過ぎる様なので緩める。望みが出てきたと気合を入れしばらく続けていると、とうとう一匹釣ることが出来た。すると周りの釣り人密度が急に高まる。まぁ、気持ちは分るよ。「良し、これからだ!」とブログ用写真も撮らずにエギを投げ続けるが・・・続かない。夜釣りの準備はしていないので、暗くなる前に早めに帰ることにした。 これで、やっと通算二匹目。まだまだコツが捕めない。

遂に来た!

「イカなんて所詮、無脊椎動物だろ。楽勝だわ」という甘い考えで挑み、何年も負け続けたアオリイカのエギング。先週末、やっと一杯目を釣り上げることが出来た。長かった・・・。 釣らないうちに止められるかと思っている間に道具も増えてしまい、止めるに止められない感じに。

石垣島ソルト F. F. 外道戦記(2) 妄想と現実

(続き) ホテルのすぐ傍に釣具屋があることは調べてあった。現地に着いて、早速寄ってみる。石垣港が目の前なので夜釣りでイカでもと思って、スピニングのパック・ロッドも持って来ていた。店の人に夜は港のどのあたりで釣りをしてるかと訊ねてみたら、夜は釣りはしていないと言われてしまった。えっ、そうなの? 石垣港は結構大きい。ホテルの近くは船がたくさん係留された潮通しが悪そうな場所で、ここに大物がいるという様な感じではなかった。かなり移動しないと良さそうな所に行けないみたいだ。旅行に出掛ける前に「もしホテルの前がすごく良いポイントだったらチャンスを逃してしまう」と想像を逞しくして持ち込んだ餌木(エギ)は、結局使うことはなかった。(実際のところは、夜は呑んでしまうのでそれから釣りに行くことはよっぽどないわけだが。) 竹富島に行くときに船から見た限りでは、石垣港の埠頭で釣りをしている人はほとんど居なかった。件の釣具屋にも餌木は沢山売っていたから地元の人もエギングをしているんだろうけど、日中に船上か沖堤でやっているのだろうか。 (続く)