座間味島へ (3) マリリンとイカに逢いたい

続き

翌日。5時に起きて、島に渡る前に買った餅の菓子で少し腹拵えをする。外は風が強い様で、ごうごうと音がしている。雨も降っているかもしれない。態々沖縄まで来て辛い状況で釣りをするなんてことやってないで、のんびり寝ているべきではないかという気持ちと、ここまで来て見す見す大物を釣る機会を逃がせば後悔するという思いの葛藤の末、合羽とライフジャケットを着込んで、未だ暗い中ヘッドランプの明りを頼りにポイントに向う。

前日の下見ではイカが釣れた痕跡はなかったが、とりあえず明るくなるまでは足元がしっかりしている港内でというのが無難だろう。闇に向ってエギを投げる。一投、二投、三投。このあたりで「沖縄だったらイカがバカバカと」という夢はやはり夢であったということになった。時折、微かに空を切り裂く音が聽こえてくる。どこかに他の釣り人が居るらしい。何を釣っているのか。彼は何か釣れているだろうか。

多少は移動しながら投げ続けて、もう何投目だか分らないが、ついにロッドに振動が伝わってきた。しかし、直ぐにそれは止んでしまった。リールを巻いてみると、エギが無くなっている。イカじゃなくて、何か歯の鋭い魚だったかもしれない。ダツかタチウオか。あるいはリーダーが根擦れで切れたのか。こうなったら何でもいい。何か掛れとエギを投げ続けたが、その後は生き物の手応えはなかった。

明るくなっても暫くそこで粘っていたが、反応したサカナの正体を明かすのは諦め、アオリイカが釣れていたポイントを目指す。海岸は少しだけ離してテトラが入れられていてエギを手前まで巻き寄せてこれないところが多く、釣りが成立する場所は意外と限られる。テトラの切れている場所でエギを投げる。投げるが、反応なし。実績ポイントだが、満潮直後で潮の動きがない時間帯なのが駄目なのか。エギの操作の所為か、パックロッドで距離が出てないからか・・・ 宿の朝食の時間が迫る。このまま手ぶらで帰るのは釣り人の沽券にかかわる。そのとき、重い手応えが。

 

アオリイカ
 

 
ち、小さいな。でも昨日の人もこういうサイズだったし。数が釣れれば、宿の客一人に一皿ずつイカ刺付き朝食になるから問題ない・・・と続けたものの、その後はサッパリで、タイムアップ。

続く