岩手釣行5 ノーサイド

続き

「朝だぞー、起きろー」の声。その日は私が岩手を去る日だが、皆にとっても最終日で、気合いが入っている。私が一番最後だった様だ。なんせ、増水で釣りが出来ない朝が続き、これが最初で最後のチャンス。腹に何も詰める間もなく急いで準備して、支流の一つに全員で出発した。

当初、この日は釣りをするつもりじゃなかった。前日までにお腹いっぱい釣って、飛行機に間に合う列車は早朝に一本しかないのでそれに乗り、盛岡か花巻で時間潰しに観光でも、と思っていたのである。「椀子そばは一人で食べるのはちょっとな…。花巻なら賢治ゆかりの『イギリス海岸』まで歩くか。」そう考えていた…初日の釣りをするまでは。次の日の釣りの最中、どうやって最終日も釣りをするかを考え始めた。そして、帰り道なので間に合う様に空港まで送っていただけるというShimaneさんの言葉に甘えて、この日の釣りに参加しているのである。

千葉さん
千葉さん



まずはその支流の上流側に入る。結構良いポイントを貰うが、バラしてばかり。どうも岩手遠征中ずっと、バラしの割合が多かった。こちらの川に慣れていないというだけではなさそうである。

今回、初めてのフックでフライを巻いて来た。いつもはTMC100BLを使うところ、岩手用に貫通能力がアップしているというTMC100SP-BLを使ってみたのである。大御所の自信作らしいのだが、今はこれが自分と相性が悪いのではないかと疑っている。フック・ポイントの鋭さが仇となって、『皮一枚』という感じで浅く掛かっている気がするのだ。貴方はそんなことはないですか?

下流へ移動。魚止めの滝まで釣り上る。入って直ぐは日が射していて、それが良かったのか、続けて三匹キャッチ。パターンをつかんだかとも思ったがその後は駄目で、そのままお昼近くに滝に到着。これで憧れの地、岩手での釣りが終わった。思い描いていた通りとはいかなかったけど精一杯の四日間。ここは静かに目を閉じて深く息をするところだが、実際にはそんなセンチメンタルな気分ではなく、「ま、間に合うよね飛行機…」ということで頭がいっぱいだった。

イワナ



続く