曲を覚えるという事 2
他の楽器奏者はどんな練習をして演奏に臨むのだろうか。例えば、ピアノを弾いている人は?
コンサートやコンクールでは、ピアニストは楽譜を見ていない。暗譜して演奏する。実は、最初からそうだった訳ではないらしい。シューマンの奥さん、クララ・シューマンが暗譜して演奏することを始め、楽譜を見ないで演奏するのは恰好良いということで、定着していったという。そして、楽譜を見ながらのピアノ演奏は、練習が足りてないと評価される様になった。
あの膨大な数の音を発する演奏を行なうピアニスト達は、一体どんな風に曲を覚えているのだろうか。それを参考にすれば、演奏中に次にどう弾けばいいか分らなくなるという様なことを無くせるのではないか。そう思って、『暗譜』というキーワードで検索してみた。 そこから分るのは、意外なことだった。
大半のピアノ奏者にとっての暗譜の方法は、「体が自然に動いて無意識に弾けるまで、緊張しても失敗しない程、何度も弾く」というものであるらしい。何の事はない、(質や量は兎も角)自分のやっていることと同じではないか。自分は反復によって体に動きを覚えさせて演奏出来る様になることを、「曲を覚えた」とは考えても「楽譜を覚えた」のだとは考えたことはない。なので、「暗譜」という言葉がそういうことを(も)差すとは思わず、暗譜をしたピアノ奏者は皆、どの音をどんな順番で弾くのかという情報を記憶しているのだと思っていた。