宮古島ソルト F. F. 紀行(3) 実釣一日目

 

実釣一日目


 
 
道具も沢山持ち込んで釣る気満々なのだが、スケジュール的には「釣り」はあくまで島を観光しながらちょっと時間を貰ってやってみるということであって、浜にずっとへばりついている訳にもいかない。丁度大潮で、昼前の潮が一番引いた頃に遠浅のリーフに居られれば、思い描いた様な釣りが出来るはずだ。

この日は北方面に向うことになった。朝食を食べられそうな店が見つからないので、10時頃にでもガイドブックに載っている店で食べるつもりで宿を出発。時々海に降りて様子を見てみるのだが、海岸の様子がどうも予想と違う。結構すぐに深くなる様だ。更に潮が引いたら様子が違ってくるんだろうか。

目当ての店に着くが、閉まっている。目の前から電話をかけてみても出ない。段々と予定が狂って来る。更に先へ進み、他の店に着くが未だ開店していなかった。訊くと開けるのは11時からだとか。自分一人だけなら朝飯も昼飯も抜いて釣り優先にするところだがそういう訳にもいかず、先ず池間島まで行って戻ってくることにした。

11時前に到着。さあ急いで食べて、いよいよ勝負だと思ったら、今度は11時30分開店だと言う。「うちなーじかん」というやつですね、わかります。なかなか釣り始められない。やっと食事にありつき、これから良さそうなところを探していると潮が満ちてしまいそうで、もうお店のすぐ横で釣ることにした。

やっぱりここも想像とは違う。水中にあまり起伏がない様子。果たしてイシミーバイは居るのだろうか。不安ながらも釣りを続けていると、ん? 手に微かな振動が。
 
 

エソ


 
 
小さい……。まぁ兎に角、ソルトウォーター・フライフィッシングの最初の釣果である。これは、沖縄で「エソ」と呼ばれる魚らしい。こちらでエソ(マエソ)と呼ばれる魚とはちょっと違う気もするが。何かトラギスっぽくもある。でも目が赤くて怖いよ。結構大きくなる魚の様で、こいつはその赤ん坊というところか。

まぁ想定外の魚でも、釣れないよりはずっと良い。今度は本命を、とキャストを繰り返すが、後が続かない。今日は諦めて上がるかと思っていると、また弱々しい手応えが。
 
 

アオヤガラ


 
 
サイズアップしたにはしたけど……。流石は沖縄、釣れる魚がいちいち不思議生物。この魚は「アオヤガラ」。長い顔の先っぽにあまり大きくない口がある。後で知ったけど、こちらの地元でも釣れる魚らしい。

この日釣れたのはこの二匹だけ。本命のイシミーバイ(や、ガーラや、タマンや、モンガラカワハギや……)を釣る望みは翌日に持ち越されたのであった。


(つづく)