Sanoe (4)
(続き)
サノエが誰なのかを特定できる、揺るぎない根拠というものは無いらしい。なので、自分で好き勝手に考えると:
個人的には、作者とされるリリウオカラニ女王やカペカだとは考えにくい。男性の立場で自分のことを想う歌を作って発表するというのはどうなんだろう。他に(作者が明言する)そんな歌を聴いた覚えがないのだが。もっとも、カペカが作詞者ではなくて、リリウがカペカの話を参考にしたと言ったのが何時の間にか作詞者とされた可能性もあるのかも。
自分の歌詞の解釈では、リケリケ王女というのも無い気がする。歌詞の“Likelike”がリケリケ王女のことだとすれば、サノエの他にリケリケ王女が登場するのは変だと思う。
『サノエ』は表面上は宮廷内の、表沙汰に出来ない恋愛を歌っているようなので、判ってしまいそうな人がモデルだと大問題になったのではと心配してしまう。何か核になるストーリーはあったにせよ、具体的に誰と言える程の人物は居ないのじゃないかな。(その「核になったストーリー」が問題なんでしょ!って言われそうだけど。)
『サノエ』の裏の(真の)意味は、“He
Mele Aloha” の解説
Sanoe (kanoe), the mist, referred to the Queen’s people, the Queen awaits their will.
に沿った、愛するハワイの人々を導く女王としての決意を表しているという解釈を採用したい。リリウオカラニは1877年、弟レレイオホク王子の急死によって王位継承者となる。『サノエ』は1870年代中頃に作られたと言われていて、女王となることが決まった後なのか微妙である。でもそう考えると、女王廃位とハワイ王国終焉に結びつけて語られる『アロハ・オエ』と同じぐらいドラマチックな歌ということになる。
(続く 想定外)