Sanoe (5)

続き

以上、サノエというのが誰なのかを中心にこの曲について調べてみたのだが、サノエの特定に拘り過ぎて、真実から遠ざかってしまったのではないかと思い始めた。

男性の方に着目すべきではなかったか。サノエに呼びかけているのがカラカウア王だと考えたらどうだろう。「サノエ」がハワイの人民を象徴する女性ならば、人民に語りかけるのはリリウオカラニよりも兄のカラカウア王の方が自然だ。そして、サノエには特定のモデルはいないのだと思う。歌が作られたとされる1870年中頃、リリウオカラニは女王ではなかった。王族とはいえ、また王位継承者になったとはいえ、王を差し置いて恋人として人民に語りかけるということはあるだろうか。

私はこの歌を、困難な状況にも屈せず愛するハワイの人々を導くカラカウア王の決意を表している、と考えることにした。