Sanoe (3)
(続き)
サノエとは誰か。2005年発行の山内雄喜著『元気が出るハワイアンの名曲25選』では「現代ではリケリケ王女のこととされているが、そう言い切ることは難しい。」と、リリウオカラニ女王、リケリケ王女、エリザベス(カペカ)の説があると紹介している。結局、特定する決め手が存在しないということなのだろう。
女王やカペカがサノエではないかと言われるのは、作者とされる両者が自分の体験を元に作った可能性からだと思うが、リケリケ王女を挙げる根拠は何なのか。『サノエ』はリケリケのために書かれた歌とされているらしい。そう言われる理由が解れば、サノエがリケリケなのかどうかがはっきりしそうだけど、リリウオカラニがそう言ったとか、何かに書いてあるという訳でもない様な……。『サノエ』の5番の歌詞に、“Likelike”が登場する。このことが、「リケリケ王女のために書かれた歌」とか「サノエはリケリケ王女のことだ」とされる理由なのかもしれない。
ハワイ語は理解できないので英訳を見ているだけだが、4番までよりも詩的に訳しているのか、この5番の歌詞の意味がさっぱり解らない。何故、「ローマ」や「リケリケ」が出てくるのだろうか。HUAPARAの英訳で“Moving
now
upward”とあるけど、ハワイから見てローマは「上」に移動して向う場所でもないだろうし(ハワイに「上京」という概念が?)、上に移動しそうなのは4番に登場する「噂好きな鳥」ぐらいだ。次の“Like
the Princess
Likelike”で何かがリケリケみたいだといっているが、リケリケ王女がローマに行ったという話は読んだことないし、って事はつまり……。どうもリケリケ王女に敬意を表して作った歌というのも怪しい気がする。
(続く たぶん次で終わるかと…)