俺が言ったんじゃないぞ! 2
(前回から続き)
中国のネット人口は1億人以上。個人Blogも人気があるということを読んだ気がする。釣りをする人もいると思うが…。まあ、ネットでちょっと探して見つからないからといって、中国の諺ではないとは言えない。何といっても、中国の人口は13億人。どこかの地区で諺とされれば諺なわけだしね。
それでも「中国古諺」っていうのは怪しいと思うには、それなりの訳がある。じつはこの諺に酷似しているものがあるのだ。例えば、このページから:
“If you wish to be happy for a day, get drunk. If you wish to be happy for a week, kill a pig. If you wish to be happy for a month, get married. If you wish to be happy forever and ever, make a garden.”
ここでも“ancient Chinese
proverb”となっている。「釣りを覚えなさい」が「庭園を造りなさい」になっている以外、構成要素はそのままだ。これは偶然ではあるまい。片方が元になっているなら、その元の方はどちら? 「庭を造れ(庭師になれ)」も含蓄があってなかなか良いとは思うけど、私は変化は面白い方向に向かって起きると思うので、誰かが「庭を造りなさい」を「釣りを覚えなさい」に変え、結婚幸せ期間も短くしたのだろうと推測する。
もしそうであっても、昔の中国で変化が起きたのなら「中国古諺」には違いない。しかし、まだ他に似た様な諺が存在する。
1日だけ幸せでいたいなら床屋にいけ。
1週間だけ幸せでいたいなら車を買え。
1ヶ月だけ幸せでいたいなら結婚しろ。
1年だけ幸せでいたいなら家を買え。
一生幸せでいたいなら正直でいることだ。
(西洋のことわざ)
似た様な諺が西洋と東洋で別々に生まれなくもないが、それよりも、この手の諺を元にして変形させたと考えた方が自然だ。説教っぽい「祖先」から何時か変形したとき、責任追及をかわすために「中国の諺」ということにした、というのが真相なんじゃないだろうか。
西洋にとって昔の中国は、変ったことを言っても許されそうな「未開の地」かもしれないが、日本にとっては、諺をはじめとする文化知識の主な輸入元である。それで日本人に対しては「中国古諺」が格別の効果を発揮し、何処の国よりも「釣りを覚えなさい」が愛されることになったのだろう。「俺に文句を言われてもね。これは中国四千年の知恵だから!」
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「一生幸せでいたいなら正直でいることだ」を探しているときに出会したページでは、出典が“The
Japanese have a
saying:”と、「日本人の格言」になっている。かくして発言責任のタライ回しは続く。