俺が言ったんじゃないぞ!

一時間、幸せになりたかったら、酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら、結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら、豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。


これは開高健が『オーパ!』の中で、中国の古い諺として紹介しているものだ。『オーパ!』は子供の頃、風邪か何かで休んで退屈しているときに与えてもらって読んだのだったと思う。どうしてこの本だったのか分からないが、奇麗な写真が一杯で印象に残っている。当時はこの諺にそれほど惹かれはしなかったけども。

釣りを趣味とする人なら大抵は知っている、というのは言い過ぎか。でもこの思わずニンマリしてしまうこの諺が、我らにとても愛されていることは間違いない。釣りをしない人にとっては腹立たしいぐらいの内容だろうが、例え周りから非難を受けようとも、中国四千年の知恵と思えば心強い。

しかしこれって本当に「中国古諺」なんだろうか、と最近思った。あの開高健だったら、そんな粋なコトワザをひょいひょいと造ってしまえそうではないか。でも開高の作ではない様で、それらしい英単語を並べて検索するとあちこちで見つかる。(例えば、ここここ。)

英語のサイトでも、やっぱり“Chinese Proverb”となっている。では、中国語のサイトではどう書いてあるかと思って、それらしい単語を入れて検索してみると……見つからないのだ。中国語は英語より一層不得手であるから、探し方が悪いのかもしれないが、本当に中国で有名な諺なのか、どうも雲行きが怪しくなって来た。

つづく