後塵を拝す
九月も、あと一週を残すのみ。今期最終釣行かもしれないと、渓相が気に入っている川に出掛けた。
シーズンの最後はもっと釣れる川を目指したのか、河原に停まっている車は意外に少なかった。ひょっとすると良い釣りが出来るかもと期待が高まったが、入った場所では魚の反応はまったく無し。何かの理由で魚の活性が下がっているのか、今までにもう抜かれてしまって居ないのか、それとも……。
他の人が釣った後は、魚が残っていても警戒していてなかなか釣ることが出来ない。でも早朝から釣り上がらない限り先行者がいない場所を釣るのは難しく、せめて出来るだけ時間を空けて釣ることになる。今回釣れないのが先行者の所為だとすると、もう一度林道に上がって先行者の更に上まで行って入り直すという手もあるが、もう昼に近いし、相手が夜明けから釣っているならば何処まで上がっているやら分からない。むしろ、抜くことが出来ず、ポイントを休ませる時間が短くなってしまうだけかもしれない。
先行者も一人で全てのポイントを攻めた訳はなく、どこか釣り残しも有るはず。日も短くなったので暗くなる前に車に辿り着く必要があるということも考え、そのまま釣り続けることにした。しかし、その選択の結果は厳しいものだった。もうそろそろ上がらなければと林道に上がると、上流側から熊避けの鈴の音が。
二人連れの年配の釣り人だった。訊けばちょっと上流で上がって来たところだとか。つまり複数人でくまなく釣った後を、どんどん間隔が短くなる様に接近していたのだ。最悪である。そういえば、この川に先回来たときも、林道を降りて来た先行者さんの「此処でもこんなの釣れました」と言う解説を聞きながら長い林道を降り続けたよなぁ……。
