原風景
昨日、明治村の聖ザビエル天主堂で開かれた結婚式に行ってきた。新郎様、新婦様、お目出度うございます。末永くお幸せに。
明治村に行ったのは学校の遠足以来で、実に久しぶりだった。はっきり言って、中の様子は全く覚えていなかった。しかし、明治村が接している入鹿池には懐かしい思い出がある。ここは子供の頃、父にブラックバスやワカサギ釣りに連れて来てもらった「湖」なのである。ちょうど聖ザビエル天主堂の辺りはボートで上陸してブラックバスを良く釣った場所で、記憶の中の様子と満水になっている今の様子はちょっと違っているのだけれど、間違いない。ここだ。
近所の川でフナやコイ、オイカワしか釣ったことのない子供にとってブラックバスは怪獣の様な、強烈な刺激を持つ憧れの魚だったが、現在ほどノウハウが知られていなかったこともあってルアーではなかなか釣ることが出来ず、そのことががますます憧憬の念を強めた。大げさに言えば、そのころの自分にとって入鹿池へのブラックバス釣行は、非日常への旅行だった。
真っ暗なうちから朝食をとって出掛けて、夜明け頃に湖へボートを漕ぎ出す。白々と明けて行く空の下を、父が櫓を漕ぐ毎に軋み音をあげるボートがどろんとした水面を割りながら進んで行く。船尾からはみ出したロッドの先には、「ソニック」擬きのインチキ・ルアーが繋がれて揺れている。そんな様子を思い出していた。
そういえば、「フライフィッシング」というものを初めて目にしたのも入鹿池だった。我々の様な貸しボートではなくてカナディアン・カヌーに乗り、バッテリー駆動の船外機もつけていたっけ。とても珍しく思ったことを覚えている。