どの帽子がお好き?
著作権切れによって、沢山の新訳『星の王子さま』が登場している。この間、本屋に全部が並べておいてあったので、少しだけ読み比べしてみた。
と言っても立ち読みなので、詳しく読んだのは一番最初の、「帽子」の話だけなのだけど。今までの岩波の内藤濯訳では、象を飲み込んでいるのは「ウワバミ」だが、確か、池澤夏樹訳版では「ボア」、倉橋由美子訳版では「大蛇」となっていたと思う。「ウワバミ」というのは和風過ぎて、サハラ砂漠に不時着するフランス人の主人公には似つかわしくはないが、そこがなんとも味になっていて、「ボア」や「大蛇」になるとやはり寂しい。大体、「ウワバミ」なんていう言葉は『星の王子さま』か、落語の『蛇含草』の事を話すとき以外は使わない気がする。「ウワバミ」と聞いただけで、大人たちが帽子の絵だと言う、あの挿絵を思い出してしまうぐらい、イメージがリンクしている。
音楽でも、カバー曲がオリジナルを超えた出来だと感じることは滅多に無いよね。今までのイメージを打ち破り、版を重ねていけるのものがあるのか、今度は椅子の置いてある本屋でじっくり読み比べて予想を立ててみようと思う。