犬のマッサージ師
渓流釣りのシーズン中によく泊まる宿がある。そこで飼われている犬に会うのをとても楽しみにしている。しかし犬の方はといえば、別に『熱烈歓迎』してくれるという訳ではない。一応、最初は挨拶の遠吠えをしつつ今日の客の顔を見に来るのだが、すぐに退屈そうな様子に戻る。ただし、食べ物を持って行ったときは態度が一変。急に今まで微塵も感じられなかった『やる気』が漲ってくる。今までの研究で、彼はキャベツが嫌いであるということが判明している。
犬種は『アラスカン・マラミュート』というらしい。この辺には犬ぞりを引くお仕事は無いのでどう見ても運動不足。
今年、「重い体を支える足がお疲れになるでしょう、お揉みします」と前足をマッサージしてやると、気に入ったらしく、マッサージを止めると犬パンチを繰出される。それ以来、私のことをアンマさんと認識しているのか、近付くと足をこちらに投げ出して横になる様になった。
どうもこの宿に泊まっていると、魚を釣るというギラギラした気持ちがそがれてしまう。